つなぐ会とは

  日本音楽の研究と教育をつなぐ会(略称 つなぐ会)は、日本音楽の将来のための教育の役割を重視し、研究者がコーディネーターとなって、演奏家、学校、教育行政のネットワークの構築をめざしています。

  これまで[教員の養成・採用・研修][専門家の活用][幼小教育の連携]の3チームを組織して研究と議論を重ねてきました。これまでの活動を踏まえ、3チーム横断による[しょうチーム]を新設し、伝統音楽の表現の特質や伝承方法、日本語と音楽の深い関わりなどの視点から、音楽教育における「唱歌を用いた指導の在り方」についての研究を進めました。その成果として、平成29年度にDVD付教材「唱歌で学ぶ日本音楽」を作成しました。今後は、この教材が広く活用されるよう、ワークショップを企画、実施していく予定です。

  なお、本会の合同研究事業は、平成27~30年度伝統音楽普及促進支援事業に採択され、文化庁の支援を受けて取り組んでいます。

2019年12月20日金曜日

2019年度 日本音楽の教育と研究をつなぐ会ワークショップⅠ「唱歌で学ぶ日本音楽 唱歌を活用した授業から学ぼう―雅楽―」の報告

 2019年度 日本音楽の教育と研究をつなぐ会ワークショップ

唱歌しょうがで学ぶ日本音楽」

Ⅰ 唱歌しょうがを活用した授業から学ぼう雅楽

2019127日(土)14001730
於:東京学芸大学附属世田谷小学校 別館 集会室

平成29年度文化庁委託事業として当会が作成したDVD教材『唱歌で学ぶ日本音楽』を活用し、伝統音楽のよりよい音楽教育実践を目指して企画したワークショップの3つ目です。当日は、40名近い参加者があり、前半では、5年生の授業を参観後、講師による三管での《越天楽》を聴いてから、子どもたちが《越天楽》の唱歌と打物、さらに舞楽《陵王》の出手でるての一部を稽古しました。授業の協議を挟み、後半は、参加者が代替楽器による《越天楽》の打物と、《陵王》の出手の一部を実習しました。子どもたちも参加者も、音楽と舞の両面から雅楽にアプローチするという大変贅沢な体験ができました。 

内容は以下の通りです。

Ⅰ 授業参観「雅楽を 知る 見る やってみる」
東京学芸大学附属世田谷小学校 
齊藤豊教諭と51組のみなさん

《越天楽》の唱歌を歌う

代替楽器で《越天楽》の打物にチャレンジ

Ⅱ 雅楽の鑑賞と体験
つなぐ会作成のDVD教材にも出演された伶楽舎の三浦礼美・中村仁美・伊崎善之の3氏を講師に迎えて、《越天楽》の演奏と楽器(笙・篳篥(ひちりき)・龍笛)紹介に続き、子どもたちが唱歌と打物(鞨鼓・太鼓・鉦鼓、ただし代替楽器で)、そして《陵王》の出手(でるて)の一部を体験しました。何度も出てきた「落居(おちいり)」の動きは、子どもたちのお気に入りです。

三管の紹介と《越天楽》の演

Ⅲ 授業についての協議
「わからないことにどうアプローチするか」という発想から授業を組み立て、子どもたちと一緒に学ぼうとする齊藤先生の姿勢に共感が寄せられました。

授業についての質疑応答

Ⅳ ワークショップ
講師の方々より、紙製の芦舌(ろぜつ)やペットボトル製のリードを作って篳篥や笙の発音原理を理解させる方法を教わった後、参加者が代替楽器による《越天楽》の打物と、《陵王》出手(でるて)の一部の実習を行いました。

参加者の代替楽器による打物の実習

《陵王》出手(でるて)の一部を体験

子どもたちもお気に入りの「落居(おちいり)」の動き

参加者の声から
◇子どもたちの真剣な取り組みが印象的。「まねる」ことの大切さを感じた。
◇唱歌(雅楽の篳篥)の歌い方の基本、笙との合わせ方がわかりました。代用楽器でも合奏でき、雅楽の雰囲気が出ていたと思います。
◇楽譜で見ながら打てればもっとできたかもしれないが、唱歌という視点では、やはり楽譜はない方がよいのでしょうか。「ものさしを外す」という話ですが、なかなか外れなさそうです。
◇楽器の体験も良かったのですが、舞を体験することで、ゆったりとした世界を体感できました。
演奏家の生の声や唱歌をする時のポイントを聞くことができてとても刺激的でした。