2019年度 日本音楽の教育と研究をつなぐ会ワークショップ
「唱歌で学ぶ日本音楽」
Ⅰ 唱歌を活用した授業から学ぼう―雅楽―
2019年12月7日(土)14:00~17:30
於:東京学芸大学附属世田谷小学校 別館 集会室
平成29年度文化庁委託事業として当会が作成したDVD教材『唱歌で学ぶ日本音楽』を活用し、伝統音楽のよりよい音楽教育実践を目指して企画したワークショップの3つ目です。当日は、40名近い参加者があり、前半では、5年生の授業を参観後、講師による三管での《越天楽》を聴いてから、子どもたちが《越天楽》の唱歌と打物、さらに舞楽《陵王》の出手の一部を稽古しました。授業の協議を挟み、後半は、参加者が代替楽器による《越天楽》の打物と、《陵王》の出手の一部を実習しました。子どもたちも参加者も、音楽と舞の両面から雅楽にアプローチするという大変贅沢な体験ができました。
内容は以下の通りです。
Ⅰ 授業参観「雅楽を 知る 見る やってみる」
東京学芸大学附属世田谷小学校
齊藤豊教諭と5年1組のみなさん
《越天楽》の唱歌を歌う
代替楽器で《越天楽》の打物にチャレンジ
Ⅱ 雅楽の鑑賞と体験
つなぐ会作成のDVD教材にも出演された伶楽舎の三浦礼美・中村仁美・伊崎善之の3氏を講師に迎えて、《越天楽》の演奏と楽器(笙・篳篥・龍笛)紹介に続き、子どもたちが唱歌と打物(鞨鼓・太鼓・鉦鼓、ただし代替楽器で)、そして《陵王》の出手の一部を体験しました。何度も出てきた「落居」の動きは、子どもたちのお気に入りです。
三管の紹介と《越天楽》の演奏
Ⅲ 授業についての協議
「わからないことにどうアプローチするか」という発想から授業を組み立て、子どもたちと一緒に学ぼうとする齊藤先生の姿勢に共感が寄せられました。
授業についての質疑応答
Ⅳ ワークショップ
講師の方々より、紙製の芦舌やペットボトル製のリードを作って篳篥や笙の発音原理を理解させる方法を教わった後、参加者が代替楽器による《越天楽》の打物と、《陵王》出手の一部の実習を行いました。
参加者の代替楽器による打物の実習
《陵王》出手の一部を体験
子どもたちもお気に入りの「落居」の動き
参加者の声から
◇子どもたちの真剣な取り組みが印象的。「まねる」ことの大切さを感じた。
◇唱歌(雅楽の篳篥)の歌い方の基本、笙との合わせ方がわかりました。代用楽器でも合奏でき、雅楽の雰囲気が出ていたと思います。
◇楽譜で見ながら打てればもっとできたかもしれないが、唱歌という視点では、やはり楽譜はない方がよいのでしょうか。「ものさしを外す」という話ですが、なかなか外れなさそうです。
◇楽器の体験も良かったのですが、舞を体験することで、ゆったりとした世界を体感できました。
◇演奏家の生の声や唱歌をする時のポイントを聞くことができてとても刺激的でした。