つなぐ会とは

  日本音楽の研究と教育をつなぐ会(略称 つなぐ会)は、日本音楽の将来のための教育の役割を重視し、研究者がコーディネーターとなって、演奏家、学校、教育行政のネットワークの構築をめざしています。

  これまで[教員の養成・採用・研修][専門家の活用][幼小教育の連携]の3チームを組織して研究と議論を重ねてきました。これまでの活動を踏まえ、3チーム横断による[しょうチーム]を新設し、伝統音楽の表現の特質や伝承方法、日本語と音楽の深い関わりなどの視点から、音楽教育における「唱歌を用いた指導の在り方」についての研究を進めました。その成果として、平成29年度にDVD付教材「唱歌で学ぶ日本音楽」を作成しました。今後は、この教材が広く活用されるよう、ワークショップを企画、実施していく予定です。

  なお、本会の合同研究事業は、平成27~30年度伝統音楽普及促進支援事業に採択され、文化庁の支援を受けて取り組んでいます。

2018年12月28日金曜日

平成30年度ワークショップⅠ 「唱歌で学ぶ日本音楽 唱歌を活用して伝統音楽を学ぼう―長唄―」の報告

平成30年度 日本音楽の教育と研究をつなぐ会 ワークショップ
しょうで学ぶ日本音楽Ⅰ
しょうを活用して伝統音楽を学ぼう―長唄―

平成30年12月23日(日) 13:00~16:00
於:お茶の水女子大学 共通講義棟2号館102室

平成29年度文化庁委託事業として当会が作成したDVD教材『唱歌で学ぶ日本音楽』を学校現場で活用していただき、伝統音楽にかかわるよりよい音楽教育実践が進められることを願って企画したワークショップです。当日は、小、中、高、大学の教員、大学生、一般の方合わせて56名の参加者があり、唱歌をうたったり演奏を鑑賞したり、熱気あふれる学びの時間となりました。

内容は以下の通りです。

Ⅰ 授業発表
「三味線の特徴を捉え、口三味線を生かして長唄を奏でよう」
杉並区立阿佐ヶ谷中学校 阿部みどり教諭

  体験
長唄『小鍛冶』より「拍子の合方(縮小版)」の口三味線
「虫の音の合方」「佃(つくだ)の合方」などの口三味線
指導:杵屋三澄那(三味線演奏家)


Ⅱ 演奏
長唄『小鍛冶』の曲紹介と抜粋版演奏
東音山田卓(唄)杵屋三澄那(三味線)望月晴美(囃子) 安倍真結(囃子)

  体験 
長唄『小鍛冶』より一部分(「伝え聞く」という部分の唄と三味線の唱歌)


Ⅲ 演奏 
「石段の合方」の曲紹介と演奏
杵屋三澄那(三味線)望月晴美(囃子) 安倍真結(囃子)

  体験
「石段の合方」の小鼓と大鼓の唱歌と手拍子による演奏

Ⅳ 演奏
長唄『勧進帳』より抜粋
東音山田卓(唄)杵屋三澄那(三味線)望月晴美(囃子) 安倍真結(囃子)

参加者の声から
  • 前半、学校現場での実践報告、後半は講師によるワークショップという2本立てだったので、自分が現場でどう取り入れていったらいいか、イメージを持ちやすかった。(小学校教諭)
  • 演奏家の皆さまから直接教えて頂くのは、本当に大切なことだと、身に染みました。ちょっとしたニュアンスや所作、呼吸などに日本音楽の良さが詰まっていて、そこを大切にしたいなぁとつくづく思いました。教えている側がその音楽の良さをどう捉えているかで、子ども達への伝わり方が大きく変わってしまいます。私も学び直したいなぁとつくづく思います。 (中学校教諭)
  • さっそく授業に取り入れることができる内容で、大変有益であった。(高校教諭)


*このワークショップの模様は、音楽之友社『教育音楽』(小学校・中高版)3月号「トピック」に掲載予定です。